こんにちは!しんろっくです。今回はベースの更に下の音域サブベースの作り方です。
音楽制作においてサブベースは低音域に特化したサウンドで、音楽に深みとパワーを加える役割となっています。サブベースはお腹に響くような最も低い周波数帯域なので、その図太い振動はリスナーの体の芯に直撃します。
特にEDMやヒップホップなどのジャンルでは、サブベースの存在感がトラック全体のインパクトを左右しています。私はそのジャンルをあまり聴きませんが、聴いたときにサブベースがメインなのかな?と思いました。クラブやライブ会場でサブベースが鳴ると、重低音が身体に響き、音楽が耳で聴くというより体で感じるという感覚になります。これによりリスナーにより強いインパクトを与えられます。
DTMでもサブベースを使ってトラックの重低音を作ってみましょう!
サブベース?なにそれ。まったくわかりません。
今やサブベースはEDMやラップでは最重要な音かもしれないんだ。
実際のベース音とサブベース音
一般的なベース音
サブベース音
サブベース単体だと人の耳には聞き取りにくいといわれています。ただ、最近のラップを聴いてみるとサブベースありきの音楽なのかな。と思いました。重低音とクラシックのようなやさしい音の融合。みたいなイメージを持ちました。サブベースが通常扱われる周波数帯域(例:20Hz~60Hz)この音を通常のベースにブレンドして音づくりをしていきます。
サブベース作成方法
まずはベースを選択してピアノロールに打ち込みます
このベースとまったく同じフレーズが必要なのでこれを複製します。
オーディオInsertsをクリックしてDistortionの中にあるVST Bass Ampを選択します。
下画像の赤枠でSub Bass1を選択します。
ベース音+サブベース音
サブベースのない音楽は「軽くて浮いている」ように聞こえるのに対して、(もちろん無い方が良い時もある)サブベースがあると「重厚感があり、音楽がしっかりとした基盤を持っている」と感じられます。
完成したサブベースをベースと同時に鳴らしてみて、もしベース音とサブベース音ずれを感じる場合はタイミングが合うように微調整しましょう。
各ジャンルにおけるサブベースの特徴的な使い方と役割
1.エレクトロニカ
- サブベースの役割
エレクトロニカでは、サブベースが音楽に深みを与え、トラック全体に独特の浮遊感や空間感をもたらします。このジャンルでは、サブベースがメロディックな要素としても機能し、楽曲のムードを形作る重要な役割を担っています。 - 特徴的なテクニック
- サブベースのスウェルとリリース
エレクトロニカでは、サブベースを長いスウェル(徐々に音量が増加する)やリリースで表現し、持続的な低音の広がりを作り出すことが一般的です。これにより、楽曲全体に安定感と流動性が生まれます。 - フィルターモジュレーション
サブベースにフィルターのモジュレーションをかけることで、時間経過とともに低音が変化する動きを作り出します。このテクニックは、聴き手に動的で感情的な反応を引き起こします。 - シンセベースとのレイヤリング
エレクトロニカでは、シンセベースとサブベースをレイヤーして使うことがあります。これにより、低音の輪郭が明確になり、メロディラインに一体感をもたせつつ、サブベースの深みを保ちます。
- サブベースのスウェルとリリース
Massive Attack – “Teardrop” (1998)
この曲はエレクトロニカ、トリップホップの代表的な作品で、特にその深くゆったりとしたサブベースラインが印象的です。
「Teardrop」のサブベースは、楽曲全体のムードを強調し、リスナーに深い感情的な影響を与える重要な要素となっています。サブベースは曲の静かな部分でも存在感を持ち、音楽に重厚感と深みを加えています。
Massive Attackの「Teardrop」は、エレクトロニカにおけるサブベースの使い方の象徴的な例として広く認識されています。この曲は、音楽の雰囲気作りや感情的なインパクトを高めるためにサブベースがどのように効果的に使用されるかを示しています。
2. ヒップホップ
- サブベースの役割
ヒップホップでは、サブベースがビートの根幹を形成し、トラック全体に強力なリズムとグルーヴを提供します。特に、サブベースはキックドラムとともにリスナーに「パンチ」を感じさせる要素として重要です。 - 特徴的なテクニック
- 808ベースサウンド
808ベースはヒップホップの代名詞的なサウンドであり、特にトラップミュージックで頻繁に使用されます。これはTR-808ドラムマシンのベースドラムサウンドを加工したもので、持続的で重低音の鳴るサウンドが特徴です。ピッチを操作してメロディックに使うことも多いです。 - サイドチェーンコンプレッション
キックドラムとサブベースのバランスを取るために、サイドチェーンコンプレッションを使うことが一般的です。これにより、キックが鳴る瞬間にサブベースの音量が自動的に下がり、クリアでタイトな低音域が保たれます。 - サンプルベースのサブベース
既存のレコードや楽曲からサンプリングしたベースラインを加工し、サブベースとして利用することも多いです。これにより、独特のヴィンテージ感やテクスチャーを持つサブベースが得られます。
- 808ベースサウンド
Kanye West – “Jesus Walks” (2004)
この曲はヒップホップにおけるサブベースの代表的な例で、深くパワフルなサブベースがビートを支え、トラックに重厚なグルーヴを与えています。
「Jesus Walks」のサブベースは、特にキックドラムと連動しながら強力なリズムを作り出し、リスナーに強いインパクトを与えます。
Kanye Westはプロダクションの巧みさで知られており、「Jesus Walks」はその象徴的な作品の一つです。この曲のサブベースは、楽曲全体に力強さと深みをもたらし、メッセージ性の強いリリックと相まって、ヒップホップのクラシックとされています。
3. ダブステップ
- サブベースの役割
ダブステップでは、サブベースがジャンルの特徴そのものと言っても過言ではありません。サブベースはトラックのリズムとメロディの基盤を形成し、その強烈な存在感でリスナーに強いインパクトを与えます。 - 特徴的なテクニック
- ワブルベース
ダブステップの象徴的なサウンドであるワブルベースは、LFO(低周波振動)を使ってサブベースのピッチやフィルターをモジュレートし、独特の「うねる」サウンドを作り出します。このサウンドがトラック全体のエネルギーを増幅し、激しいリズムを引き立てます。 - 複雑なエンベロープ操作
サブベースの音量やフィルターのエンベロープを複雑に操作することで、非常にダイナミックで変化に富んだ低音を作り出します。このテクニックにより、聴き手に緊張感や期待感を持たせることができます。 - リバースサブベース
サブベースをリバースさせるテクニックもダブステップではよく使われます。これにより、サウンドに前進的なプルの効果を持たせ、ドロップの前に緊張感を高める役割を果たします。
- ワブルベース
Skrillex – “Scary Monsters and Nice Sprites” (2010)
この曲はダブステップを世界的に広めた象徴的なトラックで、特に強烈なサブベースと独特のワブルベース(うねる低音)が特徴です。「Scary Monsters and Nice Sprites」のサブベースは、ドロップ部分で特に目立ち、リスナーに強烈なインパクトを与える重要な要素となっています。
Skrillexはこの曲で、従来のダブステップの枠を超えて、サブベースの使い方を革新しました。曲全体を通してサブベースがドラムと一体となり、トラックに独特のエネルギーと激しさを与えています。
この曲は、ダブステップのスタイルを確立し、サブベースがジャンルの特徴としてどれだけ重要かを示す代表例です。
4. ニューメタル
この曲はメタルの新しいジャンルのイメージで作ったニューメタルなるものです。少し不気味な曲ですが、こんなジャンルの音楽にもサブベースはあいます。全体を通して今回の作成手順で作ったサブベースを使用しています。
まとめ
エレクトロニカ、ヒップホップ、ダブステップ、ニューメタルのそれぞれのジャンルでは、サブベースが独自の役割を持ち、その使い方も多様です。
エレクトロニカではムードを形成し、ヒップホップではビートの基盤を支え、ダブステップではジャンルを象徴するサウンドとして重要な役割を果たします。
これらのテクニックを理解することで、ジャンルごとの音楽制作においてサブベースを効果的に活用できるようになります。
それでは良い重低音ライフを!!